ユーロ/円相場は、130円の節目を挟んで揉み合う展開が続いている。欧州政局不安から一時128.02円まで軟化する場面も見られたが、その後はユーロの押し目を買い拾う動きが強まり、結果的に明確な方向性を打ち出せていない。ドル/円相場も明確な方向性を打ち出せておらず、全般的にポジション調整中心の小動きに終始している。
ポルトガル10年債利回りは、7%台という高値圏を維持している。ポルトガルでは相変わらず政争が続いており、総選挙に発展して財政再建路線が頓挫するリスクが警戒されている。大統領は、総選挙の早期実施プロセスを開始すれば新たな金融支援が必要になると警告を発しているが、債券市場ではこのまま政治的な混乱が債務問題の蒸し返しに発展するリスクが警戒されていることは明らかである。加えて、格付け会社S&Pはイタリアの格付けを引き下げ、見通しをネガティブとしており、欧州債市場全体が不安定な値動きになっている。現段階では特にパニック的な値動きには発展していないが、欧州債利回りに対する上昇圧力が鈍化するまでは、ユーロ相場の上昇余地は限定されよう。
もっとも、ドル/円相場が総じて堅調地合を維持していることを考慮すれば、ユーロ/円相場の下落余地も限定されよう。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は9月の政策変更見通しに疑問を投げ掛ける内容になったが、年内の政策変更と言う方向性には何ら変化が生じておらず、ドル主導でドル安・円高が進行するような相場環境にはない。あくまでも欧州債市場がパニック的な動きを見せないことが前提になるが、ユーロ/円相場の押し目買い基調は維持されると見ている。欧州債利回り動向に注目して、ユーロ買い・円売りを仕掛ける機会を探ることになる。
今後1週間の予想レンジは、128.50~132.00円。